『2/16 戸面原ダム釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



多くのバスアングラーがオフシーズンと位置付けている冬期だが、私は真冬のバスフィッシングが好きでたまらない。 一年のうちで最も厳しい時期ゆえに小手先の技術やいい加減な釣りでは結果が出せない。 だからこそ自分のスキルを上げていくのに絶好の時期と考えている。
特に1〜2月は冬の中でもその難易度が最も高く「修行」を積むには最も向いている。この時期に修行を積み結果が出せるようになると、シーズン中に多少の悪コンディションに見舞われようともなんとか凌げるだけの力が身に付けられると信じている。

1月14日

釣り業界人の戯言となってしまうが、1〜2月というのは横浜・大阪とフィッシングショーが続く。 1年で一番慌ただしい時期となり、おのずと釣行回数も減ってしまうのが悩みの種でもある。 横浜のフィッシングショー前に一度釣行したいと思っていたところ、何とか実現できた。

世間的には3連休、その最終日という事もあってさぞや湖も混んでいるのかと思いきや、何と出船時刻にボートを出したバスアングラーは私だけだった。 冬季の戸面原ダムのボートは6:40〜16:00と決まっている。ボートセッティングをしている間などはまだ暗く、桟橋の照明を頼りに準備をしているほどだ。 この日も他のアングラーは陽が上がってからやってくる人が多かったようだが、自分は冬でも朝イチが最大のチャンスと考えているので6:40になると同時に湖上へと繰り出す。気温は-2度だが無風だったので苦になる寒さではない。水温は6度台後半だった。


狙いのオダに入り1投目。ダウンショットを撃ち込みシェイクするといきなりバイト。 喰いが浅いのは予想していたため慎重に喰わせの時間を置いてアワセを入れるがスッポ抜けてしまった。
このオダは水深5m弱の位置にあるが、魚探で見ると複数の魚がオダの上に定位しているのがわかる。但しそれは朝だけで、陽が完全に上がり切った後に同じオダを魚探で見ると魚影が消えている。

亀山ダムでは冬場でも朝にはシャローにフィーディングするバスがいるのだが戸面原ダムではそのようなバスが確認できない。私はこの5mのオダに居る魚こそが戸面原ダムのフィーディングの魚なのではないかと考えるようになった。

ほどなく同じオダでの2バイト目。今度はさらに慎重に喰わせて掛けた。 しかしランディングした瞬間にネットの中でフックが外れる。やはり掛かりは浅い。

さらに3バイト目はフッキングには成功させたもののファイト中にフックが外れる。 おそらくは皮一枚のフッキングで、口切れしてしまったものと思われる。

さすがに同じスポットを叩き過ぎてバイトが遠のいた。一旦別の場所に移動し、少し場所を休ませてから再度同じオダに入り直す。ワームもAR-Wピンテールの ジューンバグカラーに替えて攻めてみる。4バイト目もかなり掛かりが浅かったものの無事キャッチには成功。 2尾目をキャッチしたのは8:23だった。朝イチのチャンスタイムはこれで終了。


お恥ずかしい話だが、この日の釣果はこれで終わってしまった。 12月に結果が得られていた実績場所はことごとく壊滅。 さらなるディープのライトリグ、シャローカバーのパワーフィネスと一発狙いのジグ&ポーク、この時期の定番とされるメタルバイブ、その全てが空振りに終わった。 そうした結果も顧みつつ、次回釣行に向けて作戦の立て直しが迫られる事となった。


2月16日

横浜・大阪と続いたフィッシングショー。 その期間中には釣行することが出来なかったが、ブースに来場して下さった方々のおかげで高いモチベーションを維持することが出来たのは本当にありがたかった。

ようやく仕事が忙しい時期を脱したと思いきや関東でも雪が降り、愛車にスタッドレスタイヤを履かせていないこともあって安全性を考慮して 釣行を見送りとした日もあった。湖上が恋しく歯痒い日々が続いていたがこの日はようやく釣行することが出来た。 意に反しておおよそ1ヶ月ぶりの釣行となってしまった。

前回の失敗から、この日は少しタックルを変更して臨んだ。
1つはショートバイト対策。レッグワームやAR-Wピンテールでも掛けられない魚を獲るために、使用ルアーにゲーリーヤマモトの オケラを加えることにした。
そしてもう1つは、水深10m前後にある沈木を効率よく探るためにダウンショット用のシンカーとしてタングステン4gを用意した。

この日も出船時刻(6:40)からボートを出したバスアングラーは私だけだった。 朝、いつもの水深5m弱のオダへ。そして1投目。狙い通りにバイトが出る。 ネットイン後にフックが外れたため掛かりは浅かったのに違いないが、スッポ抜けで終わることなく無事にランディング出来たのは 使用ルアーをゲーリーヤマモト・オケラに替えたことが功を奏したと言えるだろう。

その後、1度ショートバイトを感じたがいつものように連発しない。 魚探でオダを映してみても魚影は映らなかった。 水温は6度台。おそらくバスはこれより深い水深に落ちた個体が多いのだろう。 そこで、このオダに隣接する水深7〜8mの沈木を4gシンカーのダウンショットで狙ってみる。

今回ディープの沈木を狙うにあたり4gシンカーを使用したのは水深だけが理由では無い。沈木は枝が広がっており、 その枝にラインが掛かると抵抗によってリグが沈みにくくなる。 1.5gのシンカーだとボトムまで沈ませられないケースが出て来てしまうのだ。 普通に考えればライトリグに4gは重過ぎる気がしないでもないが、4gあればラインが2〜3箇所の枝に掛かっていてもほぼ確実にボトムまで落とせる。

同様に、ラインが枝に掛かりながらも着底感が確実に感じられる。 明確な着底感さえ感じられれば、その着底感が鈍った瞬間が魚のバイトと判断することが出来る。1.5gシンカーだと枝越しにバイトした瞬間がわからず、結果として対処が遅れてミスをすることがある。
但し、重いシンカーでオダなどを攻めると、シンカーがオダを強く叩き過ぎて場荒れを起こしやすい。一箇所で粘る釣りには4gシンカーは向かない。

かなり枝振りのいい沈木だが、4gシンカーは確実にボトムを捉えてくれる。 ラインを枝に掛けながらシェイク。バイトが無ければ枝を乗り越えて、またラインが次の枝に掛かったところでシェイク。それを繰り返す。 やがて着底感と異なるモゾッとした感触。フッキングと同時に沈木から一気に引き離す。 2尾目をキャッチすると同時に、この釣り方に確信を持った。

1月までは4〜5mレンジに魚が多かったためあまり深追いしなかったのだが、この日は予め魚探にマーキングしておいた水深8〜10m前後にある沈木エリアを 周りつつ、4gシンカーのダウンショットで攻めていった。

メジャーポイントでもある馬の背エリアの水深9mの沈木でバイトを捉えるも、 これはスッポ抜け。

今度は全く別の場所にある水深10mの沈木を攻める。一応魚探にはマーキングしておいたものの実績はない場所。ここで3尾目をキャッチ出来た。 その後は同条件の場所をあちこち周ってみたがバイトを得られず終了。


この日の釣果は5バイト3フィッシュ。決して誇れる釣果ではないが、4gシンカーのダウンショットでディープの沈木を攻める釣りに手応えを感じた事、それによって自分が苦手としていた時間帯でも釣果を伸ばせる可能性を感じられたことは大きな収穫だった。


沈木3種

本来の意味とは異なるようなのだが、表現を簡略化する為、レポート内では以下の3種類をまとめて沈木と記している。

1.水没した立ち枯れ木
元々は陸に生えていたものがダム建設によって水没したもの。戸面原ダムでは林が水没したところだけでなく、民家の境界線沿いに植樹されていたものが水没しているところもある。

2.横方向や斜め方向に倒れて沈んでいる木
湖岸に生えていた木が湖岸の崩落によって沈んでしまったもの。 周囲の土砂も崩落していることによって地形変化を伴っていることが多い。 当然、湖の真ん中には存在せず、湖岸沿いの崩落が見られた箇所に沈んでいることが多い。
※危険と思われる崩落場所への接近はお止め下さい。

3.流木が時間の経過と共に沈んだもの
ワンドなど、流木が長期間溜まりやすい場所に多く見られる。 見方によっては天然のオダと解釈することも出来る。 ワンド奥など比較的浅い水深にあることが多い。

いずれも湖底に沈んでいる木という点では同じだが、それぞれに特徴があり、魚の着き方が違い、攻略法も異なる。今回4gシンカーで攻略したのは1のタイプ。時期によっては2、3のタイプに魚が多いケースもある。沈木のタイプの違いを意識しながら攻略法や釣り方を探っていくと、より効率よくゲームを組み立てていくことが出来ると思う。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVS-61UL/ST
REVO PRM
2000SH
FCスナイパー3lb. AR-Wピンテール2.75インチ,レッグワーム2.5インチ(ダウンショットリグ)
(タングステンシンカー1.5g,タイニースゴイフック#8)
ゲーリーヤマモト・オケラ(ダウンショットリグ)
(タングステンシンカー1.5g,インチフックラージ)
ツアラー63改 REVO PRM
2000SH
FCスナイパー3lb. レッグワーム2.5インチ(ダウンショットリグ)
(タングステンシンカー4g,タイニースゴイフック#8)



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