『10/8 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



近年の霞ヶ浦水系でのボートフィッシングはコンスタントな釣果を得ることが非常に難しくなったと言わざるを得ない。 ベストシーズンに開催されるトーナメントにおいても半数以上の選手がノーフィッシュというケースさえある。

私自身もまた同様で口にするのも情けないやら恥ずかしいといった結果が続き、著しくモチベーションを落としていた。


10月8日 水郷各所

相次ぐ台風の襲来などでなかなかボートが出せなかったが3連休最終日にボートを出すことが出来た。 自分が駐艇している常陸利根川のマリーナが使っているスロープはドック内から川へ出るのに水門をくぐる必要がある。 このため常陸利根川の水位が1.5mを超えると物理的に川へ出れなくなってしまう。 この日は水位も濁りもだいぶ落ち着いており問題なく出艇することが出来た。

前日の予報では風はせいぜい3mまでということだったが、実際に現地に行ってみると北東の風が思いの外強く常陸利根川でさえも白波が立ってしまっている。 南岸にあるハードボトムのショルダー部分をクランキングで攻めようとしたが風下の為にボートをステイさせることすらままならず、少しでも気を抜くとボートを護岸にぶつけてしまいそうな状態。風が弱まってから入り直すことにして風の影響が薄い常陸利根川北岸を狙っていくことにした。


この日は休日にもかかわらず不思議と湖上は空いており、普段であればなかなか一番乗り出来ないような好スポットにも一番乗りで周っていくことが出来た。
アシ際をイモ60ノーシンカーで執拗に撃っていくと1バイトあったがスッポ抜け。但しそれ以外にバイトはなく、アシ際に魚が多いという感触は得られなかった。 続いて水深のある垂直護岸をテナガホッグのノーシンカーで撃っていくがこれもノーバイトで終わった。 いずれも高実績場所に一番乗りしての結果である。この日も厳しい結果になるのかとこの先が思いやられた。


実はこの日は開発中のシャロークランクのテストも行わなければいけなかった。朝のうちに魚を手にして気分的に落ち着いてからテストに着手しようと考えていたのだが、あまりの釣れなさに早々にテストを始めることにした。
目視も含めてスイムテストを行う必要があった為、風の影響がない常陸利根川北岸の斜め護岸エリアにボートを進めた。数個しかない貴重なサンプルをロストすることも許されないため、根掛かりの少ないエリアを意図的に選んでいる。 当然、釣果を狙ったスイムテストではなかったのだが・・・

どういうわけかプロトのシャロークランクで釣れてしまった。釣れた場所は特にアウトサイドベンドに位置しているわけではなく、ブレイクが隣接しているわけでもなく、ハードボトムというわけでもなく、何かが沈んでいるというわけでもない。 ただただ、のっぺりとした斜め護岸が続いている場所。この場所がいいという要素は何もない。
念の為にその護岸沿いをクランキングでチェックしてみたが、その後はノーヒット。やはり偶発的なヒットだったか。


相変わらず北東の風は弱まる気配がない。19ftのバスボートとはいえ、この風波の中を外浪逆浦を突っ切る気持ちにはなれず 常陸利根川の北岸で思いつく限りの釣りを展開する事にした。

試してみたいと思っていたフィルターユニット(巾着)でのライトリグの釣り。これはTOP50北浦戦での小森プロの入賞パターン。小森プロは参加選手の中でもダントツの数を大会中にキャッチしていた。 具体的にはフィルターユニットの沖側サイドをカットテール3.5インチで狙うというもの。自分もフィルターユニットの隙間をカバークローラーやファットイカなどで探ることはあるが、コンスタントな釣果を得るまでには至っていない。

フィルターユニットと消波ブロックの決定的な違いは魚が入り込むことが出来る隙間の有無に尽きる。消波ブロックはバスが好んで居着くが、フィルターユニットは居着きの魚はほぼいないというのが私の見解。 フィルターユニットへはタイミングでバスが射してくるというイメージを持っている。少なくともライトリグで数が釣れるようなポイントだとは思えないのだが・・・

カットテールの3.5インチを持っていなかったのでスパイニーアックスを使用。すると確かにフィルターユニットの沖側サイドで釣れた。 あいにく先行艇も同じような狙い方をしておりバイトは続かなかったが、それまで自分が見えていなかったバスを見付けられたというのは何か大きなヒントが得られた気がした。


北岸のアシ、垂直護岸、フィルターユニットはおおよそ攻め切った。次の一手をどうしようかと迷ったのだが、プロトのシャロークランクで釣れたバスが気になって仕方がなかった。
そして再び何もない斜め護岸エリアへと戻ってきた。私自身も普段は見向きもしない場所である。

近年はボート釣りも岸釣りもアングラーのレベルが上がり、好条件の場所にはアングラーが常に入れ替わり立ち代わり入ってくるような状態だ。逆に、これといった好条件が見当たらない場所には休日でも誰もいない。どんなに足場が良かろうと岸釣りの人も誰も見向きもしないといった具合だ。
好条件の場所では水中をひっきりなしにルアーが泳いでいる事だろう。が、後者の場所は何日間も手付かず状態になっているのも事実だ。釣り人のプレッシャーがほとんどないという点だけは、この斜め護岸も満たしているに違いないだろう。


大して期待をせず投げ始めたディプシードゥ2(LHT)へのヒットを皮切りに、マッディービーツSR、ファットペッパーJr.でもヒットが続いた。嬉しい反面、何故釣れるのか理解できない。魚探の画面を覗き込むが何もない。
でも深く考える必要はないのかもしれない。好スポットではないが誰もやらないためにプレッシャーの掛かっていないバスが残っていて、曇天小雨というローライトコンディションもあいまってクランクベイトでたやすく釣れた、それだけの事なのだろう。もしこれが晴天であったらおそらく釣れなかっただろうと思っている。



夕方になってようやく少しだけ北東の風が収まってきた。まだ誰にも撃たれていないであろう南岸のフィルターユニットをスパイニーアックスで攻めてみるとこれもまたアッサリと釣れてしまった。
ワームのサイズ感を変えるだけでこれだけ違うものなのか?新しい課題を見出すことは次の釣行へのモチベーションに繋げることが出来る。



情けない話だが霞ヶ浦水系で5本を超える釣果を得たのは久しぶりだ。そしてこの日に釣れたバスは全て30cmクラス。大型が混ざらなかったというのは釣り人としては残念に思う部分もあるのだが、30cmクラスが複数釣れるというのはフィールドのコンディションとしては悪い事ではないと考える。これらの魚は数年後までバスアングラーを楽しませてくれるはずだからだ。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVC-65M/HG
REVO
STX
マシンガンキャスト12lb. コロットSR(プロト)、ディプシードゥ2、OPAマッディービーツSR、ファットペッパーJr.
ツアラーV-SPEC
TVS-63L
ABU
Premier706
FCスナイパーBMS5lb. スパイニーアックス4インチ(ワッキーリグ)
(タングステンネイルシンカー1/32oz,ガード付マスバリ#5)



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