『1/3 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



 「釣り納め」「釣り初め」なんて言葉が飛び交う年末年始の釣り。水郷のバス釣りにおいては、年明け以降は一気に修行モードに移行するので丁度その過渡期にあたる。具体的に言うと、12月まではさほど難易度が高くはないが1月〜2月前半は1日やって1バイトあるかないかというのが通例。

 ただ今シーズン、年末年始の天候は穏やかな日が続いていた。冬の釣りにおいてはかなりの好条件。今シーズンの年末年始はどちらに転ぶか確認してみたいと思っていた。


12月29日 水郷各所

 12月。バスを手にする上ではまだ難易度が高い時期ではないが、12月中旬の釣行で思いもよらぬノーフィッシュを喰らってしまった。ハイプレッシャーなメジャー場所、魚は確実にいる。自分なら釣れるはずだという過剰な自信が仇となった。
 そんな前回の釣行で唯一魚を掛けていた千葉県某所に朝イチで入る。しかし既にA級場所には数名の先行者の姿が見える。前回の失敗を肝に銘じ、まだ誰にも叩かれていないロープレッシャーエリアを広く探るべくB級場所に入った。


 使用ルアーは千葉県某所で抜きん出た実績を持つスパイニーアックスのワッキーリグ。これに自作のフォーミュラを頻繁に塗布しながら攻めていく。

 ほどなくショートバイトを得た。おそらくはバスだと思うが瞬時にワームを離してしまったようだ。
 少しづつ移動しながら探っていると、今度は明確に引き込んでいくバイト。自信を持ってアワセたつもりがスッポ抜けてしまった。喰いが浅いのだろうか?
 そして3度目のバイト。これまで以上に喰わせの間を置いてから慎重にアワセてみるとフッキングに成功した。が、寄せてくる途中で杭化け。さすがに3連続のミスは精神的に大きなダメージを負う。

 そうこうしている間にも後続のアングラーが次々とやってくる。のんびりマイペースで釣っていられるほど週末の水郷は甘くない。


 スパイニーアックスで攻めればバイトは出る。ただこの日はその先に繋げることがどうにもままならない。悪い流れに呑まれてしまいそうな気がしたため攻略法をガラリと変える。
 取り出したのはシーブリット3.6g(メタルバイブ)。水深60cmに満たない場所を小刻みにリフト&フォールで攻めていく。ライトリグに比べればバイト数は少ない、けれども喰えば掛かる。

 狙い通りすぐに30cmクラスをキャッチすることに成功。リフトした瞬間、ゴミが掛かっているようなモゾッとした感触。典型的な冬バスの釣れ方だった。


 とりあえず釣果を得たことに少々安堵。昼からは駐艇場に出向いてマイボートの状態を確認し、夕マヅメの釣果を狙うべく新利根川へと移動した。


 スパイニーアックスに1/32ozのネイルシンカーを装着して沖に目掛けてキャスト。着底後はボトムをモゾモゾと動かす。明確なブレイクこそないものの、部分的にオダや矢板跡などが点在する場所。

 何か引っ掛かりを感じた場所で細かく誘いを入れると、オダとは違う感覚が加わり少しづつ動き始めた。遠投していたので大きめのストロークでアワセを入れる。35cmをキャッチ。

 その後にも同じようなバイトがありフッキングにも成功させたがファイト中にバレてしまった。


 2尾。フィールドコンディションを考慮すると貧果以外の何物でもない。この日は6バイトを得ていたのだから。収穫としては、年末まではまだ釣れるという事実を再確認したこと。今シーズンもやはりそうだった。経験は持論の確証を一層強いものにしてくれる。これで2016年の釣行を終えた。


1月3日 水郷各所

 例年、何とか三賀日中に今年の初バスをと考えて釣行している。しかし1月3日が三賀日中唯一の釣行日となった。何とか初バスを手にしたいところだが、例年年明けとともに修行モードに突入するのが通例。年末の延長と楽観視したことでこれまで何度も痛い目に遭ってきた。

 しかし今年の年末年始は穏やかで天候も安定していた。冬の釣りとしてはかなりの好条件に恵まれていたことは確かだ。


 ひとまず年末まで魚の反応が得られていた千葉県某所からスタート。パイロットベイトは勿論スパイニーアックスのワッキーリグ。探り始めてほどなく、真冬らしからぬ明確なバイト。バイト直後に一気にラインが走っていった。しかしスッポ抜けに終わる。結果に繋がらなかったとはいえ開始早々の明確なバイト。これはもしかして状況が良いのではないか?そう思ったのも束の間、その後は全くのノーバイトに終わり、厳寒期の釣りにスイッチすることを決意。

 しかし私の後続で複数のアングラーが入ってきていた。自分自身がスパイニーアックスで流した後をメタル系のルアーで再度攻めたかったが、その場所は既に4〜5名ほどのアングラーが叩いた後となっていた。

 おそらくメタルバイブでは叩かれているだろう。こうした状況も想定内ではあり、何か人とは違うものを・・・と考えこの日は4gのスプーンを用意。水深は60cmもないのでさすがにメタルジグは使えないが、軽いスプーンをリフト&フォールさせていくことでバスを反射喰いさせるイメージで攻めていった。

 結果はすぐに出た。スプーンの着底と同時に明確な重みが加わった。体が反射的にフッキングさせていた。今年の初バスは34cm。


 使用したスプーンは以前にスミスで発売していたジェラシー4gのシルバー(現在は廃盤品)。このスプーンは本体にラインアイが溶接されているのが特徴。今回はこのラインアイにシングルフックを直付けして使ってみた。

 これはエリアトラウト用のボトム系スプーンからヒントを得たもので、着底時にフックが上を向くことを重視したもの。自分が狙っている場所はとにかく根掛かりが酷いので少しでもストレスを無くすことを目的とした。ただ、果たしてこのセッティングがベストなのかどうかは今後の検証次第といったところ。

 その後、千葉県某所ではヒットを得られず。時間が経つに従いますますアングラーの数も増えてきたのでこの場所を後にした。


 続いてやってきたのは茨城県某水路。水位が低すぎたら止めようと思ったが条件は悪くないようだ。ここでの狙いは枯れガマ。2.7gのスモラバ+BFシュリンプ2.8インチの組み合わせでじっくり攻めていく。こうした場所ではベジテーションに絡みにくい形状のBFシュリンプがとにかく使いやすい。

 倒れ込んだガマの葉の隙間にルアーを送り込んで細かく誘っていると微かなバイトを感じた。アワセるがスッポ抜けてしまう。アワセが早かったようだ。しかし中途半端に掛かることなくスッポ抜けたのはある意味ラッキーだった。同じ場所に再度撃ち込んだところ、また喰ってきたからだ。

 今度は喰わせの時間をしっかり置いてからアワセを入れた。すると、思ったよりも魚が小さく魚体が宙を舞った。そのまま岸に落ちてホッ・・・と思いきやフックが外れている!急いで抑えようとしたがバタバタ、ドッポーンとオートリリース。30cm弱のバスだったが、オートリリースした魚が今年の初バスでなくて良かったようにも思えたり。

 その後、水路ではバイトを得られず。


 続いて霞ヶ浦水系の流入河川に移動してきた。狙いは枯れかかっているベジテーションマット。テキサスリグで攻めたがノーバイト。夕マヅメのフィーディングバス狙いでもバイトは得られず終了。


 年末に比べればさすがにバイト数は減った。けれども例年に比べて難易度の低い1日だったようにも思えた。確かにこの冬、年末年始頃まではかなり暖かいと感じられた。早朝、出掛ける際に車のフロントガラスが霜で真っ白という事もなければ水路が凍結しているなんてこともない。寒さで手が悴み感覚を失うなんてこともない。ボート釣りでもこの時期とは思えないような釣果が出ていたと聞く。

 とはいえ、このレポートがアップされる頃にはフィールドも厳寒期に突入しているだろう。1バイトに胸が高鳴り、1尾のキャッチに大きな達成感を得られる修行釣り。苦しい釣りだからこそ本気になれる。楽しい。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラー
STC-60TXL
REVO
LT-L
FCスナイパー
8lb.
シーブリット3.6g
ジェラシー4g改
強化型ケムケム2.7g+BFシュリンプ2.8インチ
ツアラーV-SPEC
TVS-63L
REVO NEOS
2500S
FCスナイパーBMS 4.5lb. スパイニーアックス4インチ(ワッキーリグ)
(タングステンネイルシンカー1/32oz、ガード付マスバリ#5)



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