『1/3 千葉県某所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



 自分は冬のバス釣りが大好きだ。特に水郷の冬バス釣りはもう20年以上も通い詰めている。但し、ここ数年は霞ヶ浦水系以外のフィールドの開拓も進めている。

 霞ヶ浦水系外に目を向けている理由は2つあり、1つは人的プレッシャーを避けたいとの考え。そしてもう1つは強風を避けたいという理由がある。霞ヶ浦水系は海が近かったり、筑波山方面から吹いてくる風などもあり風には弱い水域だ。風裏がないことはないが、その分人も集中する。同じ条件下であっても、少し内地に位置するフィールドではそこまで風が強くないというケースがある。前日の予報を見て水郷エリアが強風であっても内地のフィールドは充分釣りになるというケースがあるのだ。貴重な週末を無駄にしないための保険として考えることが出来る。

 但し、釣り場の開拓はなかなか一筋縄ではいかない。ここ数年、バス釣り場としては話を聞かない千葉県某所Aに通い詰めたが、やはり結果は厳しいものだった。そこで今シーズンからは、バス釣り場として知られているフィールドであることを前提に、その場所に冬でも釣れるポテンシャルがあるかどうか?を重点的に調べている。

 そして今シーズン目を付けたのは千葉県某所B。ここはバス釣り場としては少しマイナーな場所だがもちろんバスはいる。私にとっては果たして冬に釣れるかどうかが問題だ。その点このフィールドは閉鎖水域であり、冬にバスが身を寄せる枯れガマが豊富であることから有望と考えたのだ。


12月7日

 カーナビを頼りに初めて千葉県某所Bにやってきた。思いの外バスアングラーが多く驚いたが、私とは全く違う狙い方をしている人がほとんどでホッと胸を撫で下ろす。

 勝手がわからないのでひとまず人のいない方向に進んでみる。テナガホッグのテキサスリグを枯れガマに撃っていくと、ピックアップしかけたテナガホッグをひったくるように喰った。この時期としては激しい喰い方だ。

 ファイト中に木の枝に引っ掛かってしまいバスが宙吊りになってしまったが、根性で取りに行き無事キャッチ。34cm。まだ釣り始めて1時間も経っていない。幸先の良いスタートだ。



 その後、インレットが絡む激浅場所でベジテーションが僅かに揺れるのが見えた。すかさずテナガホッグを撃ち込むと一撃でバイト。冬場特有の居喰いバイトだったためじっくりと喰わせの時間を置いたが、アワセた瞬間に魚体が翻っただけでフッキングさせられなかった。まずまずのサイズだっただけに残念。

 そして枯れガマを撃ち続けるとまたしても微かな居喰いバイト。今度こそとしっかり喰わせてから渾身の力でアワセると30cmほどのバスが飛んできた。

 その後もショートバイトが1度あったが喰わせ切れず。


 午後はさらに広範囲を車で周ってみる。しかしあいにくあまり足場がない。岸沿いのほとんどは葦が生い茂っており水辺に出るのが難しかった。数少ない足場から攻めてはみたが期待できそうな場所は見付からずに終わった。

 けれども午前中のペースは予想以上のものだった。この時期に限られた時間に僅かな区間で4バイトを得られたというのは上々の手応えと言えた。しかしこの釣り場のネックは足場の少なさだった。


12月30日

 前回オカッパリで手応えを得た千葉県某所Bにアルミボートを出してみることにした。足場が限られていたオカッパリでさえ悪くない手応えを得られた為、アルミボートでくまなく探ってみればさぞや凄い結果になるのではと思えてならなかった。

 真冬のアルミボートに同船しようという物好きはなかなか見付からなかったが、この日はスミスサポートプロの稲葉プロが同船してくれた。1人で釣るよりも2人で釣る方がよりこのフィールドのポテンシャルを効率よく探ることが出来るだろう。

 朝8時頃に現地に到着し釣りを始めたが、前日までの冷え込みがキツかったためか浅場は水面が凍り付いていた。1/4ozのテキサスリグならば氷を撃ち破れるが、軽量なベイトフィネスリグでは氷の上にワームが乗ってしまう始末だった。


 水温は6度台。もっと上昇しないと厳しいかと思ったがラッシュが掛かったのは午前中だった。サイズに恵まれなかったが、私が4バイト2フィッシュ。いずれもテキサスリグでの枯れガマ撃ち。一方稲葉プロは沈んでいるオダにアプローチし40cmジャストをキャッチした。

 まだ釣り始めて3時間ほどしか経っていないし限られた区間しか流していない。にもかかわらずハイペースでバイトを得られた。やはりこの釣り場、物凄いポテンシャルがあるのではないか?私と稲葉プロの期待もますます膨らんだ。



 しかし世の中そう甘くはなく、昼以降は二人とも完全ノーバイトで終わってしまった。午前中の連続バイトは一体何だったのか。時合い?それとも場所?連発した区間もノーバイトだった区間も、その明確な違いが判断できない。ノーバイトだった区間もいかにも釣れそうな枯れガマが生えていたのだが・・・。

 現時点でフィールドの全容が把握できていないためにひとまずは岸沿いをダダ流しで攻めていったのだが、結果的に全域を見て周るには至らなかった。けれども今後、時間を掛けて開拓していくのも悪くはないだろう。それはそれでまた次回の釣行の楽しみになる。

 当初の期待には及ばなかったものの、やはりこのフィールドが冬に有望であることに関しては確信を持った。この釣行が私と稲葉プロの2013年の釣り納めとなった。


1月3日

 一般世間では正月真っ只中の1月3日、自分は再び千葉県某所Bを訪れた。2014年の初釣りということで何としてもノーフィッシュを回避し初バスを手にしたい。12月中には水郷エリアの実釣も行い予想通りの結果も得られていたが、例年のパターンだと年明け以降に通用しなくなるのが目に見えているので、より確実性があるのはこちらだと思った。

 今回はオカッパリで、これまで周っていないエリアを攻めていくプランを立てた。


 前回、前々回と比較的短時間のうちに釣果を上げることが出来たのだが、今回は年明けの1月。さすがに厳しいかもしれないという予想は当たり、昼まで全くバイトを得ることは出来なかった。

 それでも心の中に確信を持ちつつテナガホッグを枯れガマのエッジに撃っていく作業を淡々と続けていたところ、唐突にラインを通じて明確な生命感が伝わってきた。バイト後はカバーの中に入るでもなく沖へと走っていく。釣り人側にとっては極めて好都合な展開。しっかり喰わせてフッキング。

 難なく引き抜いたバスは35cm。今年の初バスは難なくキャッチすることができた。


 さらに数分後、今度はいかにも冬バスらしい居喰い系バイト。これもじっくり喰わせてからアワセるとフッキングに成功。ところが寄せてくる途中で枯れガマの太い茎に絡まり、どうしてもそれ以上寄せてくることが出来なくなってしまった。

 最終手段としてニーブーツを履いて川の中に取りに行ったがあと少しというところで手が届かない。そうこうしていうちにバスはフックを外して水の中に消えていった。サイズは大きくはなく30cm程だったが、冬のバスは1尾が貴重だ、悔しい。


 午後はまだ足を踏み入れていない場所を中心に周り、地図上にメモを残していく。当然ロッドも振ったが結果は得られなかった。

 それでも、ノーフィッシュと背中合わせの修行釣りの季節であることを考えれば、単純に今年の初釣りで結果を残せたことを喜ぶべきなのかもしれない。


 昨年末からの釣行で実感したのは、未知のフィールドを自力で開拓する楽しみというのは何物にも代えがたいほどに楽しいということだ。未開拓の釣り場というのは、果たしてどんな釣果が得られるのか予想が付かない。もしかしたら完全に外してしまうかもしれないが、或いは逆に大釣り出来るかもしれないという期待感もある。

 これから何度か足を運べば、このフィールドのポテンシャルもおおよそ把握し、ある程度の釣果予想が出来るようになるのだろう。でも「予測できない」今を楽しんでいるところだ。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVC-70H
REVO MGX
SHS-L
目探シューター 12lb. テナガホッグ(テキサスリグ)
(タングステンバレットシンカー1/4oz、ストレートフック#2/0、シンカーロックS)
ツアラー
STC-68TX
REVO
LTX-L
FCスナイパー 8lb. BFシュリンプ(テキサスリグ)
(タングステンバレットシンカー1/8oz、ストレートフック#4、シンカーロックS)



[ 戻る ]