村中 義明
(W.B.S.プロメンバー スミスサポートプロ)



『2012 WBS開幕戦』


 早春はよく三寒四温なんて言われますが、今年の3月は全国的に三寒が週末に当たる日が多く、強い雨や風を伴ったので、皆さんもフィールドになかなか足が向かなかったのではないでしょうか。
 例年であればそろそろ腹パンのデカバス釣果報告をチラホラ聞く季節ですね。4月に入り桜も開花していよいよ春真っ盛りといった感じですが、皆さんは良い釣りされてますか?

 さて、昨年は震災の影響で初戦開催が6月までズレ込んだWBSトーナメントですが、今年は予定通り4月8日に北浦で開幕戦を迎える事が出来ました。まだ、多方面において震災の爪跡が残っており問題も山積みですが、こうして日常を取り戻し、トーナメントが開催され参戦出来る事を本当に幸せに思います。


 今回のトーナメントは抽選の結果ボーター同士の組み合わせになり、パートナーは橋本卓哉選手でした。試合前日の公式プラクティスでは同船してゲームプランの合わせ込みをしたのですが、この日の北浦は北よりの冷たい風が吹き込み、水温は11〜12℃止まりでした。
 4/4日〜4/7日までが大潮だったため、水温が13℃以上で安定すれば大多数のバスがスポーニングフラット上に乗ってくるかも知れないと考えていたのですが、軽くチェックした結果バスの反応は無く、まだ少し早い状況でした。

 この季節、シャローを徘徊する動き出しの早いビッグバスパターンも存在するのですが、個体数が少なくギャンブル性が高いため、初戦から狙いに行くのはリスクが高いと判断して、こうしたシャローのゲームはプランから外して組み立てる事にしました。


 狙ったバスのポジションは3タイプ。
 まず1つ目は4mラインのオダ。2mくらい高さがあるオダで、これは完全に越冬場所を意識したエリアです。冬のバスはこうしたやや深めのレンジに落ちて流れを遮る大規模なカバーに固まる傾向があるので、上手く釣れば1スポットで数が望めます。

 2つ目はシャローエリアにありながらバスが入り込める深さと空間を保持した消波ブロック帯。全体的に浅く越冬に適したディープエリアが少ない霞水系ではこうした場所で越冬するバスも存在します。ただし、この季節に意識したいのは、スポーニングフラットとの位置関係やバスが動くルートを予測して選択する事です。もちろん、スポーニングフラットに近いほどプロダクティブなのは言うまでもありません。これはオダもテトラも同様の事が言えます。

 そして、最後の3つ目はスポーニングに向かってクルーズし始めたバスで、よりスポーニングフラット寄りのブレイクラインまで移動してきていてシャローに上がるタイミングを見計らっているバスです。
 規模が大きな霞水系のスポーニングは一斉に始まる訳ではなく、北風をプロテクトする水温が上りやすいワンド状のシャローフラットから始まります。こうした条件を持つエリアのアウトサイドには比較的早い段階からバスが待機しやすく、地形的な変化や杭、コロンとこぼれた石やタイヤなどの投棄物に付く傾向があります。ただし、環境変化に敏感で移動してしまう可能性が高いバスとも言えます。

 試合前日の練習では、オダは触らず消波ブロック帯とスポーニングフラット手前のブレイクを中心にザックリとチェックし、5バイトを確認する事が出来ました。


 試合当日の朝は氷点下まで冷え込みました。正に冬への逆戻りを思わせる寒さで、明け方はボートカバーが軽く凍るほどでした。潮周りも中潮に変わる事からバスはストラクチャーやカバーによりタイト付いて大きく動かないだろうと予測しました。


 そんな訳で、朝一は4mラインのオダから開始。しかし、バイトは無く隣のオダを釣っていたチームがノンキーパーを1本釣ったのみ。何かが変わったと早々に見切り、前日最もバイトを得ていた2ndパターンの消波ブロック狙いに変更しました。

 徐々に北よりの冷たい風が吹き始めて、吹いたり止んだりの状況で、風裏となる消波ブロック帯を延々ピッチンフリップで丁寧に流すもバイト無し。風や時間を意識して消波ブロック帯をローテーションし、移動途中に目に付いたドックを撃つもバイト無し...

 そして、最終的に辿りついたのは、3つ目のスポーニングフラット手前のブレイクを中心に釣るパターンでした。冷え込んだ状況からは最も可能性が低いと考えていた釣り方でしたが、帰着1時間前に橋本選手に待望のバイトがあり、大事にハンドランディングしてようやく1本入れる事が出来ました。

 その後、この釣りを集中してやり切るも結局この1本でタイムアップとなってしまいました。


 試合結果は全体的に釣れていない状況で、1/3のチームはノーフィッシュというタフな試合でした。5フィッシュリミットを達成したのは1チームのみ。我々の成績は680gで20位でした。

 優勝したチームはスポーニングフラット上をスピナーベイトで攻めて、3本ながら4130gのビッグウェイトを持ち帰った小野/高橋チーム。フラット上を徘徊する個体数が少ないビッグバスを狙ったパターンでハイリスクハイリターンですが、狙いすまして仕留めての優勝は見事でした!


 試合後、複数の選手と話して判ったのですが、オダは前週までは比較的バイトが多く魚が濃い印象だった様ですが、数日前に吹いた大風を堺にバスが移動したらしくバイトが遠のいたとの話でした。
 また、消波ブロック帯は唯一リミットメイクしたチームもメインにしていましたが、我々含め大多数の選手がブロックの内側を狙っていたのに対し、外側をシャッドプラグで攻めて釣った様です。

 定説であれば冷たい風が吹いて冷え込んだ場合、流れを遮る様な大きなカバーにタイトになるはずですが...条件が良い消波ブロック帯は常に選手が入れ替わり撃っている状況でしたので、フィッシングプレッシャーの影響でしょうか?理由は定かではありませんが、バスはアウトサイドに離れてポジションを取っていた様です。


 今になって釣ってきた選手の状況を分析すると大多数のバスは越冬エリアからスポーニングフラットに向かう途中のポロっとした小さな「何か」に依存していた様に思います。移動途中の寄りどころになるブレイク絡みの石や投棄物等のちょっとした変化と言えば判りやすいでしょうか。結果的に水温上がらずで動けないと思っていたバスは実は少しだけ動いていた様です。
 最終的に我々が辿り着いて1本入れたのも同様のパターンでしたが、自分達が仕立てたパターンの中では、もっと早い時間帯にそれに気付き釣り込むのが最も答えに近かった様に思います。

 しかし、トーナメントが終わって上位選手の釣り方やエリアを分析してみると色々見えてくるものです。もしも、釣りに行った先でトーナメントをやっていたらウェイインを見に行ってみると新たな発見があるかも知れませんよ!

 次回のWBS戦は北浦(潮来マリーナ会場)で5/19、20日の予定です!年間成績の行方を担う大事な2daysトーナメントなので、精一杯頑張りたいと思います。


● メインタックル

ロッド STRATEGY TOURLER STC68TX
ライン フロロ12lb
ルアー 1/4ozダウンショット テナガホッグ

ロッド STRATEGY TOURLER STC65FM-HYBG
ライン フロロ8lb
ルアー フラットサイドクランク

ロッド STRATEGY TOURLER V-Specプロト TVS67ML
ライン フロロ5lb
ルアー 1/8oz スプリットショット スパイニーAX


『写真提供:W.B.S.



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