『7/22 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



7月22日 常陸利根川、北利根川

 駐艇場にバスボートを置いて半年以上が経つ。ここを拠点にすれば、北浦も利根川もすぐに出られる。これまで岸釣りやアルミボートでは手が出せなかった場所にも楽々とアプローチできるようになった。
 しかし、半年以上が経過した今でも、まだ手を付けていない場所というのが山ほどある。だから、ボートを出すたびに毎回その期待感に胸が躍る。

 茨城県常陸利根川。水郷でもメジャーエリアの1つといえる。岸釣り出来るエリアに関しては自らの足でこれまでにほぼ踏破しているはずだ。特に、全ての垂直護岸は徹底的に調べ上げてきた。
 しかし、訳あって岸からアプローチできない、或いは困難という場所もある。足場が良いコンクリート護岸であるにも関わらずだ。それは例えば私有地に阻まれて進入が許されない場所であったり、ゴミの不法投棄の問題で川沿いの道が閉鎖されていたり、現在であれば震災の復旧工事に伴い進入禁止となっているところなどである。


 ボート釣りの人には軽視されがちな垂直護岸。一見するとどこも同じように見えるかもしれない。けれども水の中は違う。水深や底質も違えば、ゴロタ石やテトラ、旧護岸を粉砕したコンクリート瓦礫といったものが沈んでいるところもある。そんなものは3D魚探を使えば一発でわかるかもしれない。けれども3D魚探では絶対にわからないものがある。それはプレッシャーの違いである。

 これはボートで川側からアプローチするだけではわからないもので、実際に陸側から確認してみないことにはわからないものだ。そして、人が容易に立ち入れるハイプレッシャーエリアとそうではないノンプレッシャーエリアの差は想像以上に大きい。

 幸いにして、私はそうしたノンプレッシャーエリアをおおよそ把握している。今回はそうしたノンプレッシャーエリアを中心に、ボートから狙ってみることにした。


 まずは、利根川に通じるクリークから攻めてみる。岸側にはフェンスが立ちはだかり、オカッパリではその攻略を断念していた場所。但しここを攻めるボートは多いのでプレッシャーは決して低いとは言えない。

 アシの手前にある竹杭にテナガホッグのダウンショットリグを撃つと、はっきりしないバイトが感じられた。細長い魚体にてっきりキャットフィッシュを予想したのだが上がってきた魚は何とライギョ。しかしその後、このクリーク内でバイトが得られることはなかった。


 続いて本流筋に移動し、垂直護岸際に生えているアシを攻める。垂直護岸際にアシが生えているのは、水深自体は浅いケースがほとんどだが、底は起伏に富んでいることが多い。ここもテナガホッグのダウンショットリグで攻めてみる。


痩せすぎの47cm
 すると、テナガホッグがショルダー部分に差し掛かったところで明確な重みが加わった。ラインがゆっくりと手前に走ってくるのを見計らいフッキング。それと同時にズッシリとした感触がロッドを通して伝わってくる。通常は心踊る瞬間であるが、こと霞ヶ浦水系においては「キャットフィッシュなんじゃないか?」との疑念が生じる瞬間でもある。

 しかししばらくして姿を見せたその魚体は紛れも無くバス。やがてスタミナ切れとなったバスをネットイン。釣り上げてから意外に大きいことに気が付いた。メジャーで計測すると47cm。但しその魚体はちょっと可哀想に思えるほどに痩せていた。


 そして、延々と続く垂直護岸際をひたすら機械のように撃っていく。と、ここである事に気付く。そこは現在土手上が工事中ではあるが、それが完了次第岸釣りでも容易にアプローチできるはずの場所だった。

 そこは震災により護岸を含む河川敷が沈下した。ただ、H鋼が打ち込まれた水際の護岸はさほど沈まず、結果として河川敷の平坦な護岸と剥離してその高低差が生じた。水際の護岸は微妙に傾いていてその上に乗るのはためらってしまうが、震災後の視察時にも釣り自体は出来ると考えていた場所だ。

 だが現在は、護岸の剥離部分に生じた隙間からアシが生え、伸び盛ってきていた。文章で説明するよりは右の写真を見ていただければおわかりいただけるだろう。

 ボートから見ると単に足場のいい護岸に見えるかもしれないが、実際に岸からアプローチを試みようとするとかなり苦労するはずだ。何せ、キャストしようにも水際がアシでブロックされてしまったからだ。

 ここはおそらく土手上の工事が完了して通行止めが解除されても、ノンプレッシャーエリアとなり得るだろう。また魚にとっては陽射しを遮るシェードを形成してくれる点も明らかにプラス。岸から狙いにくい場所になってしまったが、ボート釣りでは良い狙い目になるだろう。


スパイニークローラーのブラック/レッドフレークにて
 こうした場所を中心にスパイニークローラーのワッキーリグで手返しよく護岸際のシェードを撃っていったところ、着底とほぼ同時に重みが加わりラインが動き出した。スピニングタックルだったこともありファイトにはやや時間を掛けてランディング、37cm。

 そしてその後もスパイニークローラーでは2バイトを得た。この日は曇天ではあったのだが、それでも垂直護岸際のシェードパターンが生きていると判断するには充分。

 そしてほとんどのバイトがフォール中だったということもあり、フラグラブツインテールFS+1/8ozジグヘッドにスイッチし、フォーリングのみに集中してより手返しをアップさせていく作戦に出た。フリーフォールさせ、着底したら即ピックアップして撃ち返す、といった按配だ。

 そして案の定、フォール途中でドン!という衝撃とともにロッドに重みが加わった。反射的にアワセたがSTC-68TXがズッシリとした感触を伝えてきた。獲物はフラグラブFSを一撃で丸呑みの41cm。フラグラブFSはこの手の釣りに滅法強い。

フラグラブを一撃で丸呑み

 その後も同様の垂直護岸エリアを数箇所周ってみたが、ヒットは得られなかった。居れば一撃で喰うといった印象だが、さすがに昨今の霞ヶ浦水系だけあって魚は多くない。


 実はこの日はトーナメント(北浦チャプター)が開催されていたのだが、その参加選手が続々とマリーナに帰ってくるのを確認してから北利根川へと移動した。大会中は多くの選手とバッティングしてしまうだろうが、もう大丈夫だろうとの判断である。

 ここでは釣り方をまるっきり変え、大会参加者にも狙う人はいなかったであろう魚をクランキングで攻めてみる。

 ディプシードゥ#3で2m前後のショルダーをトレースしてくるとブルン!という感覚の前アタリがあった。そしてそのままスローリトリーブするとルアーをひったくられる感触と共にツアラーSTC-60FMLが曲がった。しかし獲物は小型のキャットフィッシュ。外道ではあるが、胸の高鳴るような当たり方だった。

 ちなみに霞ヶ浦水系及び北浦水系とその流入河川のキャットフィッシュは食品規制値を上回るセシウムが検出されたことで国からの指示により出荷制限が掛けられている(2012.7.23現在)。持ち帰る人はいないと思うが、釣り上げたら速やかにその場で放して欲しい。


 数分後にまたヒット。この場所では過去にキャットフィッシュの連発に出くわしたことがあるだけに、またキャットフィッシュかもしれないと思ったが今度はバスだった。サイズは35cm程の中型だったが、粘り強くファイトする魚で楽しませてくれた。その後は同じ条件を備えたエリアを数箇所周ったがノーヒットに終わった。

 この日、利根川と北浦でトーナメントが開催されていたため、私自身はなるべく大会参加者の邪魔をしないようにと考えてのエリア選択だったのだが、予想以上の結果に恵まれた。7月下旬にしては異例とも言える涼しくて過ごしやすい気温だったことも幸いしたようだ。水温も24〜25度台に落ちていた。


未だにディプシードゥの威力は衰えていない

この日活躍したルアー達


 現在、昨年末から本格化していた震災に伴う土手や護岸の修復工事も完了した場所がだいぶ多くなった。これまで工事で立ち入りが出来なかった場所も次々と開放されているところだ。但し、まだ一部の場所で引き続き工事が続けられているので注意して欲しい。

 また、残念だが震災の痕跡がそのまま残る場所も一部で見受けられる。危険と感じられる場所には自己判断で立ち入らないようにしたい。


【使用タックル】

ロッド ツアラー STC-60TXL
リール ABU REVO LTX-L
ライン FCスナイパー 8lb.
ルアー テナガホッグ・#349(ダウンショット)
キールバランスフック#1、ダウンショットシンカー3g

ロッド ツアラー STC-68TX
リール ABU REVO ELITE CB-L
ライン FCスナイパー 12lb.
ルアー フラグラブツインテールFS・#297-156
アーキーヘッド1/8oz

ロッド ツアラー STC-60FML
リール ABU REVO ELITE
ライン マシンガンキャスト 10lb.
ルアー ディプシードゥ#3

ロッド ツアラー STS-60FW
リール ABUMATIC PREMIER706
ライン FCスナイパーBMS 5lb.
ルアー スパイニークローラー5インチ・#02(ワッキーリグ)
タングステンネイルシンカー1/16oz、ガード付マスバリ#3

偏光グラス α-sight 50 シューティングレッド



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